活動報告

千葉市議会議員 山本直史 活動報告
2016年11月13日

【視察報告】「市民自治の確立」に向けた四国中央市の挑戦

千葉市議会議員 視察

千葉市議会議員+千葉から日本を元気にする
山本直史です。

 

四国中央市における「自治基本条例」に関する視察報告を致します。
 
四国中央市の人口は89,611人で、傾向として人口減少が進んでいる。
このまちの産業は「紙産業」がメインと市民の約7割が紙関連の仕事に従事しており、製紙業で年間5200億円と、日本一の売り上げを誇り、自治体の「財政力指数」は愛媛県で一番高い状況。
四国中央市は「雇用の受け皿」となる働き口はあるものの、人口減少傾向に歯止めをかけるためには、まちとしての魅力を高める必要があると認識されているようだ。
 

四国中央市では井原巧前市長のリーダーシップにより、「市民が主役の市民自治の確立」を
目指して平成19年7月1日から「四国中央市自治基本条例」が施行されるようになった。

 

【背景と取り組み】
・地方分権の進展(2000年地方分権一括法の施行)
→自治体は地方政府として自己決定・自己責任の時代へ
→自治体運営の根拠となるルール(自治体の憲法)を定める必要性
 
・行政の限界(新しい公共の進展)
→行政分野と地域や企業による民間分野の「中間」にある「新しい公共」領域が拡大
・市町村合併により顕在化した新市の改革の必要性
→「合併することが目的の協議に終始」した現実
→新リーダーのもと、「四国一、質感の高いまち」を目標
→誰が為政者になってもくるわないルール(自治基本条例)づくり
 
【進め方】
〝大切なこと”はいくら時間がかかろうが、市民の手で作る必要があるとの判断から検討委員会委員は「完全公募委員」で行い、検討委員会の運営は「世話人会」に委ね、合意形成には検討委員会が指名する「コンサルタント」を活用し、議会は「全会一致」で議決。
 
【完全公募の自治基本条例検討委員会委員】
住所・年齢・性別などすべての要件を外して3か月間公募を実施した結果、応募者42名で全員が合格し委員になったが2年間以上無給での活動になるため最後まで委員だったのは22名だった。 内訳(市内37名、市外5名、女性9名、男性33名)
 
【議員の参加】
設立当初から保守系2名、公募委員として共産1名、途中から公明2名
 
【継続できた要因】
・無報酬→プライドとモチベーション
・世話人主導→行政はあくまでも事務局
・参画意識→プロポーザルコンペ、住民説明会
・すべてワークショップ→気軽に意見が言える
・夜間開催
 

【制定までの取り組み】
検討委員会25回開催(平成17年4月5日初会合)
単独世話人会10回開催
分科会(市民参加・市政運営)16回開催
住民説明会6回(457名参加)延べ140時間
→平成18年9月11日 条例素案市長提案
庁内プロジェクト19回(延べ92時間)
議会小委員会9回(延べ17時間)
→2年3か月 総計254時間
市民フォーラム開催(平成19年3月14日/200名参加)
市議会全会一致で可決(平成19年6月20日)
条例施行(平成19年7月1日)
小冊子全戸配布(平成19年8月1日)
 

【条例の中身】
第一条(目的):
「市民が主役の市民自治の確立」を基本理念として、市民、議会及び市の責務を明らかにし、自治の基本的事項を定め、協働によるまちづくりを実現することを目的とする
 
第三条(最高規範):
・四国中央市の最高規範であり、市民・議会・市は誠実にこれを遵守する
・市と議会は市が定める計画の策定や変更、条例等の制定や改廃に当たってはこの条例の趣旨を尊重する
 
【質疑応答】
「四国中央市自治基本条例」が最高規範ということは、議決機関としての議会の権能との関係はどうなっているか?
→最高規範は「理念的なもの」であるので「議会の権能」とは直接
ぶつからない
 
「市民が主役のまちづくり」は素晴らしいが、実際にどの分野の事業を入札や業者への委託ではなく、「市民との協働事業」にしているのか?
→「協働」の線引きは現時点では非常に難しいのが実情
 
ボランティアでは責任の所在が不明確で、事業のクオリティが高まらない可能性は?
→その通りで、「お金」が無いとクォリティが高まらず、責任も不明確になる
 

【山本直史の視点】
四国中央市のこの取り組みは非常に先進的なものであると感じた。
また、これは前市長の類いまれなリーダーシップが無ければここまでまとめることは至難であったのではないか。

また、進めた方がオープンで、時間をかけて、徹底的に議論を尽くすことで、最初は異なる意見を持っている委員もやがてお互いの理解が進み、合意へと導かれたのではないか。
 
加えて、このプロセスを経ているからこそ、議会でも「全会一致」という結果になったと考えられる。

これはそう簡単には出来ないことだと感じているが、やはり現実に目を向けるとどうしても
「理念先行型」になっている部分もある。
 
最後の意見交換でも「条例はあるものの実態が伴っていない」という部分や、「まだまだな段階」との説明もあったので、ここからどのように前に進めて行くのかが非常に気になるところだ。
 
想定している具体的事例として、例えばの話として「この公園にはここにブランコを、ここに
滑り台を設置しよう」ということを職員が独自の判断で行うのではなく、普段公園を利用している住民の意見を反映出来るようにしたいという話も出されたが、現状の事業を厳しい視点で見ると「協働事業のための協働事業になっている可能性」の高い事業として、毎年のイルミネーション事業というものがあり、市民のやる気の無い事業は思い切ってやめることも大切という判断から、550万円の減額修正をして辞めた事業もあるとのことだった。
 
四国中央市が大変な労力をかけて「自治基本条例」を制定したことは、本当に素晴らしいと感じたがそのことで、何がどのように変わったのか?、この改革が未来に向けてどのように価値が出てくるのか、その「果実」部分を引き続き注視して行きたい。

2016111四国

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